「短いけれど心濃く」規模縮小の通知を受けて、本校が掲げた卒業式のテーマです。
まことに城南高校56年の歴史の中でも、思い出に残る卒業式になりました。
このような時節の中、ご臨席を賜りました御来賓・保護者の皆様、心より御礼申し上げます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、まことにおめでとうございます。
皆様の胸には、18年前、生まれてきてくれた日からの、様々な思い出が去来していることと拝察いたします。振り返れば、子育ての日々が、なんと親の人生を豊かにしてくれることか、まさに子は宝です。本校の教育活動にご理解とご支援を賜りましたことに、厚く御礼申し上げます。
さて、私にとっても最後となる卒業式式辞の、卒業生へのメッセージは、今から107年前の大正2年、東洋英和女学校の卒業式のブラックモア校長の言葉から始めます。
「将来、皆さんがこの時代を思い返して、あの時が一番幸せだったと、心底から思うことがあるとしたら、私はそれをこの学校の教育の失敗だと言わなければなりません。人生は進歩です。今日は昨日よりも良く、明日は今日より優れた生活へと絶えず前進して行くのが真実の生き方です。『最上のものはなお後に来たる。』最上のものは過去にあるのではなく、将来にあります」
いかがでしょうか?これを城南高校バージョンに直すならば、皆さんが、人生のどこかで振り返って、城南高校時代が一番幸せだったと心底から感じるなら、私は城南高校の教育が失敗だったと言わなければなりません。ということになります。
確かに、皆さんの城南高校での生活はとても充実していました。しかし人生は進歩です。
『最上のものは、なお後に来たる。』 「最上のもの」を連れてくるのは、いつも、自分自身の、もうこれ以上はできない、と思うほどの渾身の努力。そのプロセスは苦しく、泥臭く、時に泣いてしまうほど。でも、だからこそ歓喜の瞬間がやってくるのです。
どうか、54期生の皆さんが、これからの自分の人生に「最上のもの」を連れてくるよう「勇往邁進」されんことを願っています。
たくさんのイベントが中止になる中で、オンライン開催の試みも出てきました。リモートワークが可能であるなら、それはリモートスクールに広がるかも知れず、社会構造がその在り方を変えていく歴史の転換点の、まさに象徴として、私たちは今日の卒業式に立ち会っているのかもしれません。
そんなの変化のただ中に、卒業し、旅立とうとしている54期生の皆さん。
さあ、行きなさい。大丈夫です。送る言葉は勇往邁進。あなたたち自身が選び、実現してきた言葉です。どんな困難な時にも、自分を奮い立たせて、勇往邁進、それだけの力を、城南高校は、この三年間、渾身の力で、皆さんの中に育んできたと確信しています。
いつの時代も、次の時代は若者たちのイノベーションによって創り出されていきます。 持続可能な世界を実現する、未来の創り手として、皆さんが活躍する日はすぐ目の前です。
「進取・明朗・端正」を胸に、「勇往邁進」する54期生の前途を祝して、今年の城南歌壇にあった、この歌で締めくくり、式辞といたします。
将来の 夢に向かって 全力で always look forward
将来の 夢に向かって 全力で always look forward
令和二年三月一日
福岡県立城南高等学校 第二十四代校長 和田美千代